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熱処理を65℃30分にすることについて木次乳業に説明を求めたことについての回答を掲示します。

平成15年11月13日

株式会社 ことぶき流通システム 和田社長様

木次乳業有限会社

パスチャライズ牛乳の熱処理条件の変更及び

パスチャリゼイションの定義の符合性について

 

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)の一部が、平成14年12月20日厚生労働省令第164号をもって改正されました。それに伴い、各メーカーは低温殺菌牛乳の熱処理条件を製造に用いる機械設備や方法によって変更することになりました。

今回、省令および公正競争規約で定められた低温殺菌牛乳の熱処理条件は次のとおりです。

熱処理方法が保持式で、保持温度までの昇温時間が20分以上である場合に限り、保持温度を63〜65℃とし、30分間保持しなければならない。

熱処理方法が連続式等で、保持温度までの昇温時間が20分間未満の場合には、保持温度を65〜68℃として30分間保持しなければならない。

そこで、昇温時間の短い連続式などで製造する場合、熱処理条件は65℃30分間となるのですが、国際乳業連盟(IDF)やノース(North)の図で示されているパスチャリゼイションの定義に当てはまらないのではないかとの疑問が生じるかも知れません。

しかし、ノースの図は1920年初頭に作成されたものであり、それらのデータは保持式の熱処理法に基づくものです。また、国際乳業連盟で示している63℃30分間の条件もバッチ式(保持式)の場合としています。これらの条件には、保持温度までの昇温の熱力学的効果も含まれていることになります。連続式の場合、その保持温度までの昇温時間が短いため、その間の熱力学的な効果を保持温度の63℃から65℃への変更によって補っているものと考えてよいと思います。

なお国際乳業連盟では、パスチャリゼイションの定義を「天然性を残しつつ、病原微生物の危険性を最小にすること」と定義しており、その推奨熱処理条件として63℃30分間としています。そして、この定義を満たすものとして、ドイツでは62℃〜65℃30分間、スイスでは65℃30分間、英国では62.8℃〜65.6℃30分間で熱処理するよう法律で定めています。

したがって、今回の連続式65℃30分間熱処理牛乳は、パスチャライズ牛乳として販売することに、何ら問題はありません。